Roonには非常に洗練された音楽データベース機能が備わっています。アプリ上で世界中のアーティストやアルバムの膨大な情報にアクセスして好みの曲を再生したりクレジットを調べたりすることができます。音楽作品の新しい発見をする事においてRoonに勝るものはありません。
Roonの音楽データベースは非常に便利なのですが、その一方で目の前の音楽に集中できない要因ともなります。どういうことでしょうか?
◆情報端末は誘惑がいっぱい
さらにスマホやタブレットなどの情報端末は指先1つでインターネットにアクセスできてしまうのでSNSやら何やらと目の前の音楽に関係ない誘惑が満載です。
人間はどうしても視覚情報に注意が向いてしまうので無意識に音よりも画面のほうに注意が向いてしまいます。
せっかく立派なオーディオシステムを持っていても肝心のオーナーが音楽よりもスマホやタブレットの画面に気が散ってしまっていては残念です。
私自身、ゆっくり音楽を聴くつもりがタブレット片手にネットを見ながらなんとなく音楽を聴いてしまっている時が多々あり、我に返って反省しました。
Roonのようなネットワーク再生では、BGM的に軽く音楽を聴くのか、腰を据えて集中して聴くのか意識的にモードを切り替えることが大切だと思うのです。
◆目の前の音楽に全集中する
では目の前の音楽に全集中する方法を書きます。全集中といっても鬼殺の剣士のような壮絶な訓練は必要ありません。
例えば寝る前の1時間ゆっくり音楽を聴く時間ができたとします。その場合はまずRoonアプリで1時間分の曲をキューに登録して再生します。再生が始まったらRoonアプリを閉じてしまいます。アプリを閉じてもちゃんとキューに従って曲が再生されます。
この時点でもうスマホやタブレットは必要ないので、誘惑されないようにどこか目の届かないところに放置します。後は目の前の音楽を楽しむだけです。簡単なことですね。
Roonアプリを閉じるとPCとタブレットの間のネットワークトラフィックがなくなります。
メディアコンバーターのLEDの点滅具合を見ると、Roonアプリを閉じた後に明らかにルーターとPC間のデータ通信の点滅の回数が少なくなっています。ネットワークの負荷が少なくなることで音が良くなっている可能性は十分にあります。
ただし、アプリを閉じる1番の理由は音質がどうこうではなく、情報端末のことを忘れて目の前の音楽に全集中するためです。
◆アナログレコードの良さ
よく"アナログレコードは音が良い"と言われます。私も一応アナログを持っているのでアナログレコードの音質はある程度知っています。しかしアナログレコードの音は出音だけで説明できるものではないと思うのです。
聴きたいレコードを引っ張り出してターンテーブルにセットして慎重に針を落とす。その一連の作業をする間にリスナーが自然と目の前の音楽に全集中する態勢ができているのではないかと思うのです。面倒とも思えるその一手間が実はとても大事だった、というわけです。
以上、目の前の音楽に全集中する、でした。